冠から袖までを含めた造形が三角形に収まるようにデッサンし、それを粘土で立体にします。 顔・手・胴体を人形のデザインに合わせ、それぞれを人形の材料で再現します。 それらを元通りに組み合わせる事で、デッサン通りの理想の形のひな人形に仕上げます。 この製作行程は磊楽人形工房専属職人により製作されています。
あらゆる芸術作品は三角形/丸/四角に収まる形が最も安定感を与え、理想とされています。 例えば、エジプトのピラミッドは4~5千年経った現在でも、私達を魅了し続けており、 自然界では、日本の富士山は世界に類をみない造形とされています。
![]() デッサンに基づく三角系 |
・縦線と横線が中心に決まっています
・腕と手にも動きと表情があります
当作品の冠は、まげに櫛(コウガイ)をさして固定するため、頭の大きさと冠の大きさ、 冠の形とまげの位置、櫛をさす穴とまげの位置などがぴったりと合っている事が必要で、 頭師、結髪師、冠の作者が三位一体とならなければ完成しない究極の冠です。冠を結ぶ 紐がない為、お頭まわりがすっきりと見えます。また、見せ場である胸元の衣裳に大きな 結び房が垂れないので、全体の造形の邪魔をしません。
![]() 一般的な冠 |
![]() 正式冠 |
より人間らしくなるように、手の大きさも顔の大きさと全体造形のバランスにあわせて、 制作しています。手のふくらみ、手のしわ、爪の部分の細部にまでこだわっているのが 特徴です。
![]() 一般的な手 |
![]() デッサンに基づいた手 |
〇 切り出し(彫刻刀)で目鼻口の輪郭を鮮明にし、はっきりとした表所を気表現します。
〇 目鼻口の輪郭を切り出すことで、上塗り工程で表情がぼけないようにします。
〇 薄い胡粉を3~4回塗り重ねる事で、自然な肌の質感を表現させています。
〇 刷毛で塗る事で、切り出した部分のたまりをとりのぞく事ができます。
〇 絹糸を使う事により、落ち着いた品のある髪質(テカリを抑える)を表現しています。
〇 絹糸で表現できる髪質は、仕上げてきた顔に落ち着きがでます。